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放水車にくわしい男

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今朝から、福島原発、いや国民の命運をかけた放水が、破壊された原子炉塔にむけ空から陸から始まった。

ボクが高校1年生のある土曜日の授業中、窓の外の上空をシルバーのヘリが大きなドラム缶を吊り下げて、本郷の上空へと飛んで行った。

それが間もなくホバーリングを開始。
なんだろう…と思う間もなく、下界に向けシューッっと霧状になった液体を投下している。

息を呑んだ。一刻も早く4時間目が終わるのをそれは急かした。
その日は朝から、ボクの机の中には腕章とカメラが”待機”している。
窓の外を神保町方向に次々とすっ飛んでゆくのが「日大全共闘」のヘルメット部隊だ。

報道のヘリやら警察のヘリの音で学校全体は朝から生徒も教師もきょうは気もそぞろ。ほぼ主戦場と呼んでいい御茶ノ水は駿河台に、ボクらの学校はあった。
終業ベルと同時に、  つづく
その駅前へとカメラ片手に飛び出したボクは目を丸くした。
駅前のあの大きな道路はそこにはなく、壮大なお祭り広場(?)へと化して人々がそこを歩行者天国へと変えて埋めていた。
早朝を期して、日本警察の威信をかけた「東大安田攻め」が始まったのだ。
子供のような年齢のボクだったが、そんな大学封鎖などで困るような国家でもないのに、これをわざわざ封鎖解除に踏み切るのは、社会のためというよりも『いつまでもナメられてたまるか』という日本の保守層のカンの虫を納得させるための逮捕活動としか思えなかった。
つまり、ここで機動隊側に犠牲でも出たら、それは直接的には学生によってやられた…のだろうが、間接的には間違いなく、保守層の『メンツのため』に警官がワリを喰わされたのだと捉えるべきだ、ボクでも真理をそう見切っていた。

警官や消防官、そして自衛官って、しょせんは『有給犠牲者』なのかもしれない。国民はいかに善良であっても、いつだってツケはここに回し、そしてロクに慰労などしてはくれないものだ。
だから彼らと呑む時はいつも湿っぽくなってしまう。

「お茶の水駅前」という”出城”は、学生側によって午前中にはすでに制圧されていた。
警察側もお茶の水地域は捨てて、講堂攻めしか眼中になかった…。激動の二日間だった。

思わず40年も前の1月18日へと一気にボクのメモリーを初期化したような映像が朝の10時のニュースで流された。

放射能の影響を考えて、有人カメラは30㌔も向こうの原発上空を中継していた。この距離での望遠か、さすがはNHKいいレンズを持っている。

それだから飛び立ったのだろうけど、(陸から海へと抜ける格好の)横風が吹いているので、あいにく『放水のスイッチと着水地点』とが定まりにくいのだろう、折角の海水が炉心から離れた場所へと虚しく舞い落ちてしまう。
安田講堂では上空10㍍からほぼ全量を投下できた、まるで滝だった。

この原発には無人カメラが思ったよりも少ないのだろうか、せっかくの警視庁機動隊の高圧放水車の威力が、「報道カメラを遠隔操作」などの手法で、ライヴで見せられないのがいかにも惜しい。

放射線の危険から、上空でのホバリングで水を投下する自衛隊主導の作戦では、パイロットが危険に曝されるとされ、防衛庁から警察庁へとオペレイションが移譲されての「放水車出動」となったはずだった。
なのに、(防衛庁のメンツはつぶせない)警察オンリーでこれを鎮圧させるのはたまらなかったのだろうか、強風とあって「陸自大型ヘリの投入」での共同作業となったようだ。

国難を前にしては、雑音もメンツもないと手を組んだところにボクらが直面している危機の大きさがあると思っていい。

ただこのような「二階から目薬状態」では、やはり「地上からの放水車」に分があろう。

『今の放水車では講堂屋上の学生に届かず苦戦しましたので、より高圧な放水車を』
安田講堂攻めを落着させた後、時の警視総監・秦野章は、出動した機動隊長を集めて座談会を開き、この内容をマスコミに公表するといった異例の措置をとった。

上記の嘆きを耳にして総監は、さっそく強力なポンプを積んだ新型車を開発させると約束し、きょうの『高圧放水車』のお目見えとなった経緯がある。

この当時の”古い”とされる放水車でさえ、30㍍以上離れた全共闘学生のベニヤ板製の楯などは一撃で吹っ飛ばしていた(笑)

第一機動隊で見学した際などは、「ホームから二塁手」ほどの距離を『ただ今20気圧ッ!』という声がかかったとたん「標的役」の「暴徒」に扮し、意地でも倒れまいと抵抗していた屈強な隊員が簡単に吹っ飛んだ、それだけでなく倒れた彼が、受けた水勢でそこから10㍍くらい地面を滑ってゆくのである。

壮観というか、こうした放水が
『暴徒に水をかけて戦意を削ぐ』ためではなく、
『暴徒を吹っ飛ばして排除するための武器』としてある事を強く認識させた。

だから、この際に隊長氏が「物足りなかった」という真意とは
『ひょっとしたら、吹っ飛ばされて転落させられる』かもしれないほどの恐怖を相手に与えるだけの威力を「理想」としていたのだろうか。

『報道』の端くれだったボク。
そのカメラの被写体だった機動隊員。
お互いがその後の道を歩むうち、あの『特殊犯コマンド』になったり、また某署の武道大会後の乾杯で話してみれば、浅間山荘へ出動した『特科車輛隊員』で『自分で現役は最後の世代』と聞く邂逅に、歳月の流れその重さを痛切に感じたものだ。
ボクも歳月を経て、そうした彼らの肉体を銃弾から守る装備を納める立場にもあった。

さて、今日の『3号機攻め』だが、放射能の影響もあるので、パワーの割にタンクの小さい高圧放水車は、おそらく海から中継ポンプを繋ぎはぎ足して、海水をぶっかける事になるのだろう。(今後この内蔵ポンプは使いものにならなくなる)

これをお読みの方々は憶えておいて欲しいのだけど、この車輌は出動の態様によって、催涙液や(事後選別逮捕のための)着色インク等を混入させる装置も備えている。
そのため、燃料棒の核反応を抑える効果のある「ホウ酸」などの混入液を注水する事もできる…ということだ。これは朗報だろう。

だが心配なのは、こうした放水ポンプの圧力は、水源への(ホースの長さ=)距離と反比例して「減衰」してしまう。
発表によれば『50㍍の距離で30度の放水銃の角度』という及び腰の姿勢なので、期待通りの一点注水となるかどうか心配要素はまだ残る。

ところで、IAEAだかのミツコ委員長(男の白人)なる者が、遠く離れたNYで『「4号機は格納基に冷却水洩れがあり、それはすでにカラだ」と、”現地からの報告”を総合的に判断すればそう判断せざるを得ない。それを受けてすでに同原発を中心に「半径80㌔以内の米国人に避難を勧告」した。』という。

気になるのはこうした、頭ごし、またテーブル下で『現地からの報告』なる本当(?)の情報がアメリカの機関に届けられていながら、肝心の日本国内に流されているのは、「正しくない情報」とはいえ『統制された情報』が与えられているのか?

どこも取り上げたり、フォローしていない発表だけに、ミツコ委員長の会見発言とあっての事実無根なら、断固たる抗議なり真意を早急に問い質してほしいのだが。

いずれにせよ、危機管理をしてきた側のわが国としたら、仮に内容が正しいとしてもおそろしく無用意な発言だ。

写真:その翌日、機動隊のお茶水奪還作戦前の、1969年1月19日のお茶の水 東京医科歯科大学前 自身撮影
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プロフィール

前頭前野 重雄

Author:前頭前野 重雄
前野 重雄:東京下町生まれ&育ち。(有)流体力学・旭堂代表。

70年代以前は中学3年から週刊誌での報道取材記者、70年代初頭HAWAII移住7年。中盤からムービーカメラを回す。帰国後はライター。第1回週刊少年ジャンプ小説ノンフィクション大賞1席入選。
その後[なんでも鑑定団][うたばん][週間えみ~SHOW]で鑑定士として長期出演。雑誌連載多数。警視庁捜査一課特殊犯SIT部隊防弾装備を設計制作。単行本に「球界遺産」「客は幾万 来なくとも」など。GREE公式ケータイにブログ

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